パステルブルーの祝福を

少しずつ文学少女でなくなってくわたしの読書記録です。

少女ではないけれど

 

17歳の時に文学少女を自称していたら「さすがにイタい」というようなことを言われたことがある。

17歳って少女ど真ん中じゃない?と思いながら、とりあえずその日からTwitterのプロフィールの「文学少女」を消した。

 

20歳になったとき、あぁもう少女じゃなくなってしまったと思ってかなしくなった。

女性にも憧れるし、子どもでいたいわけじゃない。

でも、なんか少女って特別ですてき。

おとなびることも、子どものようであることも、少女ならば全部魅力になる。

 

21歳になったわたしは多分誰が見ても少女ではない。

だけどまだ、たまに文学少女を自称してみるのだ。

 

今日のおすすめ図書。

まぎれもなく少女たちのおはなし。

 

『うちのクラスの女子がヤバい』衿沢世衣子

 

 

 1年1組はどこにでもある普通のクラス。

でも、他のクラスとは少しちがう。

なぜなら、うちのクラスの女子の大半が

「思春期性女子突発型多様可塑的無用念力」

通称「無用力」を持っているからーー。

 

小難しい名前だけど要するに無用力とは

「思春期の女子にだけ現れるなんの役にも立たない超能力」のこと。

この本の中に出てくる例を出せば

・イラつくと手の指がぜんぶタコになっちゃう

・怖いと宙に浮いちゃう

・悪巧みをしている時にお好み焼きの匂いがする

などなど。本当に役に立たない。

 

わたしがいちばん好きな無用力は

2巻の表紙でヴィーナスの位置に描かれている美少女・唯ヶ崎巻奈のものだ。

彼女はある一定の条件下において、髪から花がぱぱぱぱと咲いてくる。

(かわいい……!!)

とても美少女っぽい。

髪から花が咲くなんて美少女にしか許されなさそうな超能力だ。

 

あなたならどんな無用力がほしいだろうか?

わたしならとびきり愉快なものがいい。

楽しい時に黒目がきれいなさくら色になるとかそういうの。

でも私の欲しい力が手に入ったら有用力になってしまう。

だから多分わたしもあなたも欲しい力は手に入らない。

(特にわたしはもう思春期じゃないし)

 

彼女たちにとって無用力は日常だ。

だからなのか、物語の中ではわりと無用力をほんのスパイス程度に思っていることが多い。

ちょっと変だけど、でもまぁフツー。

そんな彼女たちのいるクラスは面白くてたのしくて、わたしたちはもう1人のクラスメイトみたいにその日常を読んでいく。

 

だからすこし、3巻を読み終わるとさみしい。

そんなおはなし。

 

たまに読んで少女に戻ってみたりする。

心のなかは自由だからね。

今回はそれを現実にはみ出させておすすめしてみました。

 

(蛇足ですが、この作品はアニメにも向いていそうでとても観てみたいです)