『サウンドバック 奏の石』を観て
昨日、録画していた『サウンドバック 奏の石』をようやくすべて観た。
(以下、ネタバレを多く含みます。
サバクがなんのことか分からない方は
♪ ♪ ♪ ♪
までスキップしてください(´・・)ノ)
実は製作発表会見をニコニコで見たんだけど、
その印象があんまり良くなくてとりあえず録るだけにしてた作品。
(そのちょっと前に見たリデルの会見がすごくて感動してしまったから、普段あんまりそういうの見ないんだけどチェックしてみてた)
マーメイド5人が出てることもあって、なんとなく声優さんで売るタイプの作品なのかなというイメージがあったけれど、
Twitterでいろいろ言われてるのを見てつい気になってしまってやっと観た。
『サウンドバック 奏の石』 (サバク)はロボットのアニメだ。
「奏」と呼ばれる石に音を吹き入れると、ロボットが変形する。主人公たちはそのロボットに乗って戦う。
1話を観てすぐ、虜になった。
真っ黒いロボットに壊されていく街に、普通に遊んでいた主人公たちは懸命に石をノックする。
手の骨が砕けようと、懸命に。
その後の静寂は、すべての時が止まったみたいだった。『奏』に世界の音がぜんぶ吸い込まれてしまったようで怖くなった。
だからこそ、その後のタカヤの言葉に涙が滲んだ。
なんでも、あげる!
この言葉はたぶん、サバクを観終わったすべての人が思い返す言葉なんじゃないかと思う。
なぜなら、それは言葉通りの意味を持っていたから。
トワコの世界から音が消えてゆくなんて、誰も思ってなかった。
ロボットに乗るタカヤとリュウイチの世界からじゃなく、
二人を見守るトワコの世界から。
ある人が音を奪われたのがトワコであることについて
「実際に痛みを感じて戦う主人公と同じように、"何もしていない"と言われがちなヒロインからも代償を得るためではないか」
と言っていたけれど、あんまりだと思った。
実際、10話でそれが明かされた時、Twitterはめちゃくちゃ荒れていた。
トワコに音が返ってくるのか、
あと2体のロボットがデザインされてるけどタカヤたちはまたトワコから音を奪うのか。
(わたしはそれを見てサバクを観るようになったわけだけど)
思い返すとたしかに5話の時点で、トワコが部屋の中でマユのノックに気づかない描写があった。
けれどまさか、本当に聞こえていないなんて思わないよ。
あの時のトワコの
気づかなくってごめんね。
という言葉とさみしげな微笑みは、トワコがもう音をなくしていることに気づいていたからなんだろうな。
サバクの世界観はまさにのどかな田舎という感じで、都会育ちのわたしにはあまり馴染みのないものだ。
冬の寒さに震えながら、春の雪解けを待つような経験もない。
だけど、サバクを観ているうちにあの風景がすごく懐かしいもののように思えた。
だからこそ、あの田んぼの道をみんなで帰るとき、冬にあの鍾乳洞で春を待つとき、
トワコにはタカヤの声が、雪解けの音が聞こえないのだと思うと胸が詰まる。
11話と12話を観るのが怖くて、10話から少し間があいてしまった。
12話を観ようと再生ボタンを押す時は、思わず祈るような気持ちで指が震えた。
トワコに音が戻ってきますように。
タカヤの、自分を呼ぶ声がどうか聞こえますように、と。
Twitterなどを見ても、サバクの結末については賛否両論だろうと思う。
わたしもとても泣いたし、正直なんで?とも思った。
決定的な描写はないけれど、たぶんトワコの音は戻らなかったのだろう。
わたしはそう感じた。
でも、なんだか最後のみんなの笑顔で全部許してしまえると思ったのだ。
わたしが許すも何もないけど、タカヤとリュウイチが笑顔でサウンドバックから戻ってきて
それをトワコやマユ、ノブにレナちゃんが迎えて。
みんながいる。
トワコの世界からは12の音が消えたけれど、彼女たちの日常は誰一人欠けることなくちゃんと続く。
edの歌詞の一部を思い出した。
僕の選択は哀しくないから
そうだ、あなたの選択は哀しくない。
やっぱりわたしの中でリデルとサバクはすごく特別なアニメで、
どっちも前クールのハケンアニメだと思うことにした。
(実際は夏サビがとったらしいけども! リデルはまだ自分の中で消化しきれずブログ記事が書けない(;_;))
サバクの舞台のモデルは新潟県選永市というところらしくて、
今度の河永祭では斉藤瞳監督のトークショーなどのイベントもあるそうだ。
トワコ役の群野葵さんの舟謡もあると聞いてとても行きたくてたまらない……。
神作画として話題になっていた並澤さんの絵の舟が出るとのことで、
わたしも一口募金をしたので舟の欠片が届くのが楽しみです。
最高のアニメでした。
♪ ♪ ♪ ♪
さて!たぶん、ここまでスキップした人は
「サウンドバック???サバク???そんなアニメあった?」
となっていることと思います!
ありません!まだ!(これからはわからない。作られたらいいなと思ってます)
実はこのアニメ、
『ハケンアニメ!』辻村深月著 に出てくるものなんです。
とても大好きな作品なのですが、
その中に出てくる『サウンドバック 奏の石』の感想を勝手に書きました。
妄想で補填してる部分も多くあります。
この作品についてお話をしたいこと、おすすめはたくさんあるのですが、もう既にずいぶん長くなってしまったので今回は私の妄想レポでした。
『ハケンアニメ!』のおすすめはまた書けたらいいなと思います。